仕事やプライベートで欠かせない存在となったパソコンやスマートフォンですが、技術の進化は非常に早く、数年で買い替えの時期がやってきます。新しい機種を手に入れたものの、古い端末をどのように処分すればよいか分からず、引き出しの奥に眠らせたままにしているという方も多いのではないでしょうか。これらのデジタル機器には、金や銀、レアメタルといった希少で有用な金属が含まれており、都市鉱山とも呼ばれる貴重な資源です。しかしその一方で、個人情報が詰まった精密機器でもあるため、適切な手順で手放さないと情報漏洩のリスクや発火事故の原因にもなりかねません。この記事では、パソコンやスマートフォンを安全かつ確実にリサイクルへ回すための正しい知識と手順について解説します。
最も重要なステップは確実なデータ消去を行うこと
パソコンやスマートフォンを手放す際に、何よりも優先して行わなければならないのがデータの消去です。これらの端末には、連絡先や写真データだけでなく、クレジットカード情報やパスワード、行動履歴など、極めて重要なプライバシー情報が保存されています。多くの人が行っている「ゴミ箱へ捨てる」操作や「初期化(工場出荷時へのリセット)」だけでは、表面上データが見えなくなっても、専用の復元ソフトを使えばデータを取り出せてしまう可能性があります。そのため、悪意のある第三者に情報を抜き取られないよう、万全の対策を講じる必要があります。
パソコンの場合は、専用のデータ消去ソフトを使用してハードディスク内のデータに無意味なデータを上書きし、元の情報を完全に読み取れないようにする方法が一般的です。無料のソフトも存在しますが、セキュリティレベルの高い有料ソフトを利用するとより安心です。もし自分で操作するのが不安な場合や、パソコンが故障して起動しない場合は、物理的にハードディスクを破壊してくれる業者に依頼する方法もあります。家電量販店や一部の回収業者では、目の前で記憶媒体に穴を開けて物理破壊を行うサービスを提供しており、視覚的にも処分されたことが確認できるため安心感があります。スマートフォンについても同様に、暗号化してから初期化を行ったり、キャリアショップに持ち込んで処分を依頼したりすることで、安全性を高めることができます。自分を守るためにも、データ消去は他人に任せきりにせず、持ち主の責任として確実に行う意識が大切です。
パソコンメーカーによる回収と認定事業者の活用
パソコンの処分については、資源有効利用促進法に基づき、メーカーによる自主回収が義務付けられています。家庭用のパソコンであれば、本体に「PCリサイクルマーク」が貼られているかどうかを確認してください。このマークがある製品は、購入時にリサイクル料金が支払い済みであるため、メーカーに申し込みをすれば無料で回収してもらえます。手順としては、メーカーの受付窓口に連絡して専用の配送伝票を送ってもらい、郵便局などで発送するという流れになります。もしマークがない古いパソコンや、自作パソコン、倒産してしまったメーカーの製品を処分する場合は、「パソコン3R推進協会」が有償で回収を行っていますので、そちらを利用することになります。
また、近年利用者が増えているのが、国から認定を受けた民間事業者による宅配回収サービスです。環境省や経済産業省の認定を受けたリサイクル業者が、インターネットで申し込みを受け付け、宅配業者が自宅まで回収に来てくれる仕組みです。このサービスの大きなメリットは、パソコン本体が含まれていれば、同梱するプリンターやキーボードなどの周辺機器、さらには他の小型家電まで合わせて無料で回収してくれるケースが多い点です。メーカーごとに手続きをする必要がなく、段ボール箱にまとめて詰めるだけで済むため、周辺機器を含めて一気に片付けたい場合には非常に便利な選択肢といえます。
都市鉱山としてリサイクルされる小型家電の行方
スマートフォンや携帯電話、その他の小型電子機器については、自治体が設置している「小型家電回収ボックス」を利用するのも有効な手段です。市役所や公民館、大型スーパーなどに設置されている黄色や緑色の回収ボックスに投入するだけで、無料で処分することができます。回収された機器は、認定事業者によって適正に処理され、鉄、アルミ、金、銀、銅、そしてレアメタルといった有用な金属が取り出され、新たな製品の材料として生まれ変わります。これは資源の少ない日本において、廃棄物を資源に変える非常に重要な取り組みです。
ただし、リチウムイオン電池を使用している製品を処分する際は特に注意が必要です。スマートフォンやモバイルバッテリーなどに内蔵されているリチウムイオン電池は、強い衝撃が加わると発火する恐れがあります。そのため、燃えるゴミや不燃ゴミとして通常のゴミ集積所に出してしまうと、ゴミ収集車の中で押しつぶされて火災が発生する事故が頻発しています。こうした事故を防ぐためにも、必ず自治体のルールに従い、回収ボックスを利用するか、家電量販店や携帯キャリアショップのリサイクル受付に持ち込むことが求められます。適切なルートでリサイクルすることは、環境保護や資源の有効活用だけでなく、社会全体の安全を守ることにもつながるのです。